ぞうのはな子さん

戦後まもなくやってきたはな子さん。
私が子供の頃からはな子さんはそこにいて、みんなに愛されていた。

子供の頃に行ったきりずっとご無沙汰していたのだけれど、
お正月に干支のバッチを配っているのを知り、行ってみる?
そんなことをきっかけに、何時の頃からか、お正月に井の頭自然文化園に行くのが定番となり、勝手に「はな子さん詣で」と名付けて毎年元気なはな子さんに会えるのを楽しみにしていた。カメラをはじめてからは、外から中から、、たくさん撮らせてもらった。

亡くなったその年のお正月撮ったはな子さんのモノクロ写真をA4のパネルにして献花台に添えさせていただいた。
主のいなくなったそこはなんだかとても切なくて涙が出た。

それから数年、そこへ行く楽しみがなくなったような気がして、そこへ行くとまた泣いてしまう気がして少し遠ざかっていた。

もう大丈夫かな。そんな風に思って行ってみたらやっぱり切なくて。

表から眺めるのがやっとで入れなかったはな子さんの飼育小屋に今年は入ってみた。
入り口にははな子さんの歯が展示されている。
そして、小屋の中にはありし日のはな子さんがパネルで展示されていた。

あぁ、ここで深く刻まれたはな子さんのシワとか、大きな足とか、、
いっぱい撮ったなぁ。

主のいなくなった運動場もかつてのまま。
そこにはな子さんがいないことがやっぱり寂しくて。

吉祥寺の駅前にはな子さんの銅像ができた、と聞いたけれど、実はまだ見ていない。
というか敢えて見ることを避けていたりする。

私の中では彼女の居場所はやっぱりこの運動場なんだなぁ。
ふわっとはな子さんがそこに舞い降りてきたようなそんな気がした2024年新春。

Littlenap
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Photograph&Design
「写真で遊ぶ・楽しむ」をモットーに。日々ゆるゆると。